大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)2339 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人森信一の上告趣意第一乃至第三点について。

所論憲法三八条三項の規定は、架空の自白により有罪の判決をなすことを防止せ

んとする法意に外ならないのであるから、自白を補強する証拠は、自白の真実性を

保証するに足るものであれば十分であり、必ずしも自白された犯罪事実の全面に亘

り一々これを裏付けするものたることを必要としないと解すべきことは、当裁判所

大法廷判例の屡々判示したところである。しかるところ、原判決挙示の補強証拠に

よれば各所論の点についても被告人の自白の真実性を補強するに足るものと認めら

れるのである。すなわち、原判決挙示の証拠を綜合すれば原審の事実認定はこれを

肯認することができる。しかも第一点所論の「上着一枚」は原審認定にかかる多数

の被害物件中のほんの一部であつて本件犯罪の成否ないし量刑上にも影響なきもの

と認められ、また同第三点所論の事実は本件においては罪となるべき事実に該当し

ない犯行の場所に関するものに過ぎないのであるから、原判決に所論のような違法

があるとはいい得ない。論旨はいずれも理由なきものである。

同第四点及び第五点について。

所論は結局事実審たる原審の裁量に属する刑の量定または事実の認定を非難する

に帰着し刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。

同第六点について。

所論は単なる法令違反の主張であり刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当し

ないばかりでなく、原判決は被告人が各別個の行為意思により判示各窃盗の所為に

出でたものたることを認定し、これを併合罪となしたものであることその判文上明

らかである。論旨は原判旨を正解しないことに基ずく所論であつて単なる法令違反

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の主張としても採用に値しない。

なお本件では刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二六年六月二一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

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